「御嶽」ってなんだ? の巻



川平にある御嶽(オン)の説明文です

*1 「八重山小事典、崎原恒新、ボーダーインク」による

*2 「村が語る沖縄の歴史、国立歴史民俗博物館編、新人物往来者」による

アーラオン
川平の御嶽 アーラオンです。
 背後に、空石積みの塀と門があり、門をくぐるとイビと香炉が置かれています(部外者以外立ち入り禁止なので写真はありません)
 また、この塀の前が広場的空間になっています

伊波グスク内の御嶽
沖縄本島石川市にある伊波グスクという城跡のなかにある御嶽です
 1本の木の根元がイビと香炉であり、非常にシンプルな形状です

クボウの御嶽
沖縄本島今帰仁のクボウの御嶽
 山全体が御嶽となっている例であり、山腹に鬱蒼とした森に囲まれた広場があり、この写真の背後にイビと香炉があります。
 この御嶽は琉球開闢七御嶽の一つであり、琉球を神が創ったときに神が降りた場の一つとされています。

*3 沖縄では地域ごとに様々な祭祀が御嶽などで執り行われますが、その多くが「母神」であり、女性が主体となります。そのため、男子禁制の場も多いようです。ただし、八重山には男性主体の祭祀もあります。
 「日本人の魂の原郷 沖縄久高島、比嘉康雄、集英社新書」がこのあたりのことを詳しくレポートしています。

■御嶽って読めますか
 八重山に限らず、沖縄の集落を歩いていると、本土では見かけない独特の空間や言葉に数多く出会います。
 御嶽、城(グスク)、ヒンプン、カー、腰当森、抱護林など、どれも意味がよくわからないながらも、信仰や風水と深く関わっているもののようです。

 御嶽は、「ウタキ、ウガミ、ムトゥ、オン」などと呼ばれる聖域、神がいる場であり、八重山では「オン」と呼ばれています。

 この御嶽は、集落によって異なりますが、数箇所から十数か所あり、八重山全体で190箇所以上にものぼる(*1)、生活と結びついた信仰の空間となっています。
 私がダイビングにたびたび訪れる川平の集落にも、「ユブスオン」、「ヤマオン」、「アーラオン」、「キファオン」、「スクジオン」の5つの御嶽があり、様々な集落の祭祀がこれらの場所で行われているようです(*2)

■不思議なエコロジカル空間
 御嶽についていろいろ調べ、また、機会があるごとにあちこち訪ねてみたのですが、なんとなくは解っても、言葉で説明するのが私にとっては非常に困難な空間です。

 それは、「○○である」と構造と機能を簡潔な言葉で表現しにくいところにあります。構造と機能から、物事を分類し体系的に理解することに慣れている、あるいは教育されてきた私にとって、なかなか捉えがたいのです。

 御嶽にはとくに決まった形はありません。
 イビ(自然石)と香炉が置かれ、神が降臨、鎮座する聖域であるという空間認識が唯一の共通点であり、それ以外には、多種多様な形があります。
 山全体が御嶽の場合もあれば、畑の中にただイビがあるもの、大径木が1本あるものなど、規模も形状も様々なのです。

 ただ、一番多いのは、森の中にイビがおかれ、その前に祭祀を行うための広場があるというスタイルだと思います。
 聖域では、草木の採取が禁じられています。また、神道における神殿のように、宗教的権威を建築物で示すという思想もありません。
 神の降臨・鎮座する場を自然に求め、大切にしたため、結果として、深い森や歴史を重ねた大径木が育つなど、エコロジカルな空間となっている場合が多いのです。

■亜熱帯の深い緑
 沖縄は、日本で唯一の亜熱帯気候の地域です。
 1、2月を除き、太陽の陽射しは激烈で、木陰が恋しくなります。
 御嶽は地域の聖なる空間のため、私のようなよそ者であり、ましてや男(*3)では立ち入りを禁じられる場合が殆どのため、中に入ることはできません。

 しかし、強い陽射しの中で、こんもりとした御嶽の緑の前にたち、森をわたる風に目を閉じて身を任せ、自然に宿る神々に思いを寄せると、深く癒され、心が安らぐのです。

 ダイビングで自分が滞在する集落の御嶽を訪ねてみる。こんなアフターダイビングも悪くないものです。
 


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