|
☆1 この時、ショップではガイドとアシスタント2名が海に入っていた。
我々がエアーが異常に減っていることを知らせたにもかかわらず、ガイドとアシスタントはともにさらに潜行していった。
また、ガイドは確かカメラをもって入っていたように記憶している。
☆2 当時はダイビングコンピュータがなかったので、正確には減圧停止が必要であったかどうかはわからない。その時の最大水深と潜水時間から見て、おそらく問題がないとは思うが。
また、ダイビングの内容にかかわらず安全停止は行ったほうが身体は楽なように感じる。
☆3 当時はまだドリフトの経験も無く、また、流れの早い中を泳ぎきる経験もしたことがなかったため、コイノボリのようになる自分が果たして上潮に向かって泳ぎきれるのかどうか、皆目検討もつかなかった。
|
■久米島にでかけた
1990年8月、私とバディのYは久米島にでかけた。
初日は快晴、風弱し、波無し。燦々と照りつける太陽のもと、海は紺碧に輝き、絶好のコンディションだ。
この素晴らしい海況とは裏腹に、体験本数30本の我々は、一歩間違えば、あわや...、ということになろうとは、この時、無論、考えもしなかったのである。
■どんどんエアーが減っていく
1本目は灯台下にエントリーした。素晴らしい透明度に期待が高まる。
徐々に深度を下げ25m前後に達する。
そのとき、バディが異変を知らせてきた。
「残圧が60しかない」
私の残圧は100以上あった。器材トラブルか何かか? とにかく変だ。すぐに我々はこのことをガイドに知らせた。しかし、ガイド(☆1)は「OKサイン」を出すだけで、さらに深度をさげていく。
そしてあろうことか、水深35m前後の根で、他の客を連れて写真なんぞを撮っている。
我々は、深度を下げずにガイドたちをしばらく眺めていたのだが、エアーがどんどん減っていく。
「こりゃ駄目だ」
「我々だけで浮上しよう」
ガイドもアシスタントも少し離れたところにいた。彼らに声もかけずにそのまま浮上を開始した。浮上速度には気を使ったが、安全停止(☆2)も行わなかった。
我々が浮上した場所は、ボートからやや離れ、かつ潮の下流だった。エッチラ・オッチラ、潮に逆らって、船に向かって水面移動をするが、なかなか船に近づかない。
しばらくすると、異変に気づいたガイドが浮上してきた。そして、船の上から我々に「あらよっ」とロープを投げ、そのまま、また潜行してしまったのだった....
ダイビングって自己責任だと思うが、これって普通の対応なんだろうか?
■ラダーがない
2本目はトンバラだった。潜行すると,イソマグロ、ギンガメアジ、ウメイロモドキと回遊魚がウジャウジャ湧いてくる。
しかし、このときもバディのエアはどんどん減っていった。
ガイドにその旨伝えると「チッ」と舌打ちして(そのように思えた)、アシスタントに我々をアンカーの下まで案内させた。アシスタントは水深20〜25mのアンカーまで我々を連れて行くとそのまま踵を返していってしまった。
アンカーロープにつかまりながら徐々に深度をあげる。安全停止も行った。流れがどんどん速くなっており、安全停止をしている間、アンカーロープにつかまる我々はコイノボリ状態となっていた。当時のスキルでは、
「手を離したら、2度と戻ってこれない」
と恐怖に襲われる状態だった(☆3)。
激しい流れの中、浮上。水面近くでアンカーロープから手を離し、必死の思いで船の縁にしがみつく。
船に登るべくラダーを探す。
ところがである。「無い」のである。
なんとガイド達はラダーの設置を忘れたのである。
必死に船にあがろうとするが、器材が重くてどうしてもあがれない。決死の覚悟で、バディが器材を脱ぎ、ウエイトをはずし、私がそれを捕まえているあいだ、なんとかかんとかバディが船にあがったのであった。
「助かった....」
このときの正直な感想だ。
■何が問題なのか
ダイビングをはじめアウトドアスポーツは自己責任だ。自分のスキルの範囲内で安全に遊ぶのが原則だ。
その意味で、我々は、
- ガイドに連絡もせず浮上した
- 器材の点検を怠っていた
- 午前中トラブルがあったにもかかわらず、とくに対策をとらないまま午後また潜った
- 十分なスキルもないまま実力以上の海に入ってしまった
という点が問題と言えよう。
しかしだ。様々なスキルの客を相手にするショップが、このような対応でいいのだろうか?
- 「灯台下」では、表面の潮流がもっと早ければ、ちょっとした漂流を起こしていたであろう。また、十分な安全停止を行うことを考えれば、我々が異変を知らせたときに浮上を指示もしくは手配すべきではなかったのか!
- 「トンバラ」では、ラダーの準備を怠ったうえ、すでに潮流が速くなっていることがわかっていただろうに、初心者と確認できたはずの我々のみで浮上をさせるとはどういうことなんだろうか?
- だいたい、アシスタントと一緒に潜っていながら、初心者のサポートに回さないのはどういうことなのか?ガイドとアシスタントは自分達が好きな魚を見たいがためにただ客を連れて潜っているのか?
- もし上級者向けのショップとして開業しているのであれば、何故、我々を断らなかったのか?予約の際に経験本数と状況は伝えている。
そしてもう一つ許しがたいのが、ダイビング雑誌「マ○○ダ○○○グ」だ。はじめていく久米島のショップ選びはダイビング雑誌を情報源とした。そして、巻頭カラー数ページにわたる久米島特集のなかで、「たよれるたのもしい兄貴達」といってそのショップのガイド達が紹介されていたのだ。
そもそも、ダイビング雑誌のターゲットは経験本数100本以下の初心者から中級者であろう。そういった人たちが読む雑誌に、このような偏ったサービスを行うショップをデカデカと乗せていいのか!
仮に事故が起きていたとしたら、「ダイビングは自己責任ですから」ですますのであろうか?
海で他人は信用できん、と、固く心に誓ったできことであった。
|