ダイビングをはじめた不純な動機















1 何も知らない私に対し、ショップのインストラクターたちは、「水は熱しにくく冷めにくいから、12月の海は暖かいですよ。大島は黒潮の影響も受けているし、ホカホカですよ!」と甘い言葉で誘ったのだ。


















2 今から思うと、紹介されていたモデルの娘達の体験本数は、数本〜数十本で、みーんな初心者であった。
 つまり、日常的に彼女達がダイビングをしていたわけではないのだ。
 当時はタンク本数の意味すら分からなかったのだ。
 しかし、恐るべき雑誌であった。
 私のような馬鹿な男をいとも簡単につりあげてしまったのだから。

















3 今では、心からダイビングを楽しんでいるので、このとき誤解したままでいたことに感謝しています(笑)









4 ウェットから重器材、3点セットと全てそろえて25万円くらいだったと思います。講習費用もいれたらいったい幾らつかったことか...
 あれから10年以上たちましたが、レギとBCは今でも大切に快適に使っています。いい器材を買えたということで、まあ、よしとしましょう。

■寒風吹きすさむ大島にて
 1989年12月。伊豆大島トウシキ海岸に私は立っていた。
 打ち寄せる波は、岩にあたり白い飛沫を飛ばし、寒風が吹き寄せる。
 5mmのシーガル&ジャケットに初めて袖を通した私は、寒さでガタガタ震えていた。
 インストラクターは、「では、いきましょう!」と妙に明るい声で、私を海へと連れ出した。海に身体をつけると、首筋や袖からジワジワと冷水が染み込み私を包み込んだ。
 ただただ冷たい海の中で
 「俺はいったい何をやっているんだ?」
 「海は暖かいって(1)誰がいったんだ?だまされたのか?」
 「ダイビングなんて、この場で止めてしまいたいけど、器材も買ってしまったし、一体どうしたらいいんだろう?」
と深い後悔とともに、己のこれからを案じていた.....

■ダイバーはモデルの娘ばっかし???
 その年の9月だったと思う。残暑が残る中、親友のYと私は昨晩の酒精が残るボーっとする頭で、ダラダラとしていた。何をするでもなくタバコを吸ったり、雑誌をパラパラと眺めたりしていた。

 ある雑誌をめくった私は、突然、ショックに襲われた。

 美しいモデルの娘たちが、鮮やかな南の島を背景に、にっこりと微笑みながら、
 「私、今、ダイビングに夢中で〜す!」
と、ページをめくるたびに次々と現れるではないか。
 そして3サイズとあわせて(なんで3サイズがでているのか訳がわからないが)、好きなリゾートやらタンク本数(2)やらがでている。

 「ム、ム、ム」

 「おい、みろよ。ダイビングって、こーんな、きれいなお姉ちゃんたちの間で流行ってるみたいだぜ〜」

 「俺たちも、このCカードってやつをとったら、モデルの娘達と仲良くなれちゃうかもよ!!」

 あ〜、男とは、なんと単純な生き物であろう。私とYは、5分後にはCカードをとるべく行動を起こしたのであった。

 さっそく、週末を利用してリストアップしたショップを実際に訪ね、話を聞いたり、雰囲気を確認したりした。
「なんか思ったより地味だなぁ???」
 ショップの人たちはいい人ばかりであるのだが、どこにもモデルらしいお客さんはいないのである。
 このとき、大きな誤解に気づくべきであったのだろう。(3)

 ショップはなんとなく一番派手に思えた(今はなき)渋谷のセゾンにした。
 セゾン、渋谷、ダイビング、、、、なんかゴージャスな感じがするではないか!!

■器材を買ったら簡単にはやめられない
 あとは、ショップの人に言われるがままに、真冬の大島に海洋実習にいくことになり、また、30万円近い器材(4)を揃えたのであった。
 冬の大島の海は、初心者の私には寒々しいだけであった。
 Cカードをとってから本当にやめようと思った。
 しかし、ウン十万円も投資したのだ。もったいなくてやめるわけにもいかないではないか!

 幸いなことに、翌年、我々は沖縄の海に感動し、「これなら」ってことでダイビングを楽しんで続けられるようになった。そして、男二人であちこちのビーチリゾートに出現することになるのである。

「で、モデルと仲良くなった?」
なんて野暮なことは聞かないで下さいね。

 世の中、そう甘いことあるわけないじゃないですか。



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